【レポート】第51・第52回「交渉学(前半)」~実践!Win-Win関係の構築へ~

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 8月も後半に差し掛かり、日中の暑さに対して朝夕は少しずつ涼しさを感じることができるようになってきました。第51・52回連続講座は、毎年非常に人気が高く、過去の受講者からは「休職から復帰後に、講座で学んだことが大変役に立ったと実感した!」等、非常に好評を得ている「交渉学」です。今回は前半8月分のレポートです。

【はじめに】
 講師は、アーカス総合法律事務所パートナー弁護士であり、関西大学非常勤講師を務める松木俊明講師です。大阪会場で本講座を開催し、リモートにて京都、名古屋、仙台を繋ぎました。各会場にて各々のグループで自己紹介を経たのち、松木講師がご登壇され、ユーモア溢れる自己紹介、関西大学のTAの方の和やかな自己紹介を経て、和気あいあいとした暖かい雰囲気の中、交渉学の講座がスタートしました。

【交渉とは何か】
 まず初めに、“交渉”というと何をイメージするか?という講師の問いかけに対してグループで意見出しを行いました。モノを買うときの交渉や、ビジネスでの営業、国と国とが行う交渉(外交)など、私たちは日常の様々なシーンで交渉を経験したり耳にしたりしていることがわかりました。そして、世の中には“交渉術”と呼ばれる相手の心理状態を利用したアプローチがあることを学び、それらは本講座で学ぶことを目的としている“交渉学”とは違ったアプローチであることを知りました。 
 “そもそも交渉とは、問題解決のためのプロセスであり、関係者との関係構築を経て、お互いの目標を達成するためのwin-winな関係を構築することを目指します”という松木講師の説明は大変興味深く、納得感を得ることができました。

【交渉学について】
 交渉学は、実例を分析した実践的な方法論として、米国ハーバード大で第2次世界大戦後に学問として研究されているそうです。実践的な学習プログラムが構築されており、日本の大学や企業で学習環境が拡大しているとのこと。また、海外で提唱された学問が日本独特の文化に親和するのか?とう懸念に対して、日本古来の近江商人を例に上げられ、近江商人の思想・行動哲学である“三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」”と交渉学に親和性があることをご説明頂き、古来からの日本文化と交渉学との相性の良さを知りました。

【交渉の成否を左右する2つの要因】
 交渉の成否に大きな影響を与える2つの要因として、論理学(=論理的にアプローチ)と心理学(=心理的影響に備える)であるとのこと。論理的なアプローチを取るためには、あらゆる可能性を検討することで想定外を予測することや不合意への代替案を検討するなど、事前準備が重要であることを学びました。一方、心理的な影響に備えるためには、自分の状態を認知し、自分がどういう心理傾向になりやすいかを把握しておくことが重要であるとのことです。

【ショートケース】
 グループワークへ。PCをめぐる取引の一例として、実際に交渉の場面を想定したケーススタディを行いました。
 実際に自分がどのような印象を抱いたのか、相手にどのような背景があるのか検討し、自分一人で考えた場合と比較して、グループでは自分とは異なる視点に多々触れることができたのが非常に貴重な気づきとなりました。
 講師からは、
⑴自分の感情や相手に対する印象を認知して、その心理状態からどういった傾向になりやすいかを把握すること
⑵他の条件を想定する広い視野を持つこと
 が重要であると説明をいただきました。
 そして、よりよい交渉のためには交渉中には表現されにくい相手背景や意図である“コンテキスト”について、仮説思考を用いて、可能な限り多く想定し、仮定したコンテキスト毎に適した対策を用意することが大変重要であることを理解しました。

【最後に】
 今回の講座を受けるまで、交渉は自分だけの利益のみを優先して考えてしまっていました。ショートケースでもその癖が抜けきらずにどうしても互いにwin-winとなるようなゴールを思い描くまでには至らず、今後継続したトレーニングを意識して取り組んでいく必要があると感じました。
 また、グループワークでは自分が想像できなかった視点を持った方の意見を聞くことができたことが大変面白かったです。あらゆるケースを想定した視野の広い思考についても日々の練習が大切であると感じました。
 
 次回は、9月25日です。模擬交渉のワークを通じて、お互いにwin-winとなる関係構築に向けた交渉学を体系的に学びます。

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